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シリーズ 政治を問う-小泉首相を問う「ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論」を読んで

安倍新総裁が誕生し、小沢民主党代表も自民党の対決色を強め、来年、夏には参院銀選挙を控え、今また“政治”に注目が集まっています。

第1回は、御厨貴著「ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論」をもとに小泉元首相を取り上げたいと思います。

以前、ブログで小泉元首相の事を激しく非難した。

当時の小泉元首相は、国会質問において野党の質問をはぐらかし、質問とは全く関係ない、いかにもマスコミ受けするような事ばかり、答えており、全く誠実さというものがかけていたからだ。

それに、郵政民営化に反対か賛成かの一点突破で衆議院を解散し、争うというのは国政選挙のあり方として間違っていると考えたからだ。
この点は、今での考えは変わっていません。

■僕が郵政選挙に反対する理由

郵政民営化、是か非かを本当に国民に問いたいなら、国民投票で問うべき事柄だと思う。
そのためにも、「国民投票の法整備を行うことは、憲法改正に繋がるので行わない。これは不作為に当たらない。」という論理矛盾を主張する社民党を置いといて、早く国民投票への法整備を行うべきである。

■しかし、現在、僕は小泉元首相を高く評価しています

皮肉にも先の郵政民営化選挙において郵政民営化に反対した議員を推薦せず、逆に“刺客”を送ったことで、自民党内へのヘゲモニーが確立し、その結果、誰も表立って小泉元首相に異を唱える自民党議員はいなくなり、抵抗勢力が壊滅しました。
結果的に小泉元首相は、族議員が幅を利かす利益誘導型の古い自民党を“ぶっ壊し”自民党を近代政党へと進化させた。
この点において、僕は小泉元首相を評価するのである。

繰り返すが、先の郵政民営化、是か非かのような一点突破の総選挙は、今後、絶対すべきでないと思う。
どうしても、首相の掲げる政策に反対する議員が出て、政策の法案が通らないなら、その反対議員を除名すればいい。
本来、国政選挙は、国民一人一人が自分が重要視する政策を中心に、総合的に判断し、投票するものである。

■本書 御厨貴著「ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論」の内容■

ニヒリズムの宰相小泉純一郎論
ニヒリズムの宰相小泉純一郎論
御厨 貴
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それでは、順次、「ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論」の内容を紹介して行きながら御厨貴氏の論を見て行きましょう。
御厨貴氏は、小泉元首相を、説得せず、調整せず、妥協せずの三無主義のニヒリズムの宰相としています。

第一章 選挙を好感度調査にした男 宰相・小泉の登場

ここでは、党内基盤がなかった小泉首相が、「国民の力」、「マスコミの力」を巧みに利用した稀有な首相であると述べています。
また、小泉政権になって世論調査の意味が、あたかも芸能人と同じく「好感度調査」に変質したとも述べています。

また、小泉首相の総理の辞め方にも言及しています。
場合によっては次の選挙に立たないのではないかと。

■僕は、できれば小泉元首相に次の選挙に立たず、政治家を辞めて欲しいと思っています。
一国の総理まで上り詰めた人が政治家を続ける意味はないと常々思っていたので、ましてや元総理という立場を利用して現政権に影響を及ぼすなど、もってのほかと考えています。
そのため、小泉元首相には先例を作っていただきたいと考えています。

そして、もう一つの可能性としてサプライズ小泉元首相が首相にカムバックするのではないかとも述べられています。

第二章 数の政治から劇場型政治へ 宰相・小泉の手法

派閥と無縁で来た小泉元首相が総理になった結果、派閥に機能変化がもたらされたと述べています。その他、小泉チルドレンにも触れています。

第三章 小泉内閣の歴史的な意味 宰相・小泉と自民党

小泉首相の登場によって、これからの政治家は、マスコミは無視できないものとなり、当選回数が多い政治家がそうでない政治家よりも「政治家として上である」ような時代が終わって、これからはむしろ逆転していくとします。
中選挙区には後戻りせず、「総理を選ぶ」という方向の小選挙区制の選挙が続いていくと述べ、その結果、「大統領化現象」という世界的流れが続いていくのではないかと考察しています。

第四章 なぜ小泉政治は面白いのか

政治観よりもギャンブルに近い政治勘に秀でた小泉首相が、ツキにも恵まれながら、橋本派に代表される「抵抗勢力」に壊滅的打撃を与えた経緯とその功罪について述べられています。

第五章 小泉劇場のライトモチーフ

小泉首相が「抵抗勢力」などの敵を常に作り、それと戦うという解りやすい勧善懲悪の物語に仕上げ、歴史や政治が視覚や嗅覚や聴覚や触覚だけで受け取る政治になって、政治が身近なものになった反面、同時にどんどん政治が小さくなってきていると述べています。

最後に、松原隆一郎氏との特別対談「小泉時代 日本はどう変わったか」が収められています。

<感想>

著者・御厨貴自ら、本書を講壇政治学ならぬ「講談政治学」と称すべき「ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論」ですが、講談政治学とまで言わないまでも、日本の政治を研究する政治学者の本は、いつも新聞記者が書く本の少し詳しくなる程度で、鋭い論評が見られないのが非常に残念です。

しかしながら、なぜにあれほど小泉元首相が高い支持率を維持できたのが、本書「ニヒリズムの宰相 小泉純一郎論」を読んで分かったような気がしました。
常に“抵抗勢力”等、敵を作り出し、非常に分かりやすい政治を行い、国民は小泉元首相を応援することによって、悪人をやっつけるようなカタルシスを味わっていたのではないか。

また、小泉元首相が危機に陥り、支持率が低下すると小泉元首相自身がサプライズを仕掛け、支持を回復させるという繰り返し。

“小泉劇場”とはよく言ったもので、なんだかドラマを見ていたような気分です。
小泉元首相の理念としたものは一貫して「小さな政府」を目指すというものでしたが、そこまで国民への負担増を求めなくともというものもあったと思います。
経済は回復しましたが、小泉政権の5年間によって、壊されたものも大きいとも思っています。


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